親権

公正証書文例/親権

 

第●条 甲乙間の未成年の長男●●(平成●年●月●日生、以下「丙」という。)及び長女●●(平成●年●月●日生、以下「丁」という。)の親権者を、母である乙と定め、乙において監護養育する。

 

未成年の子がいる場合、親権者を定める必要があります。「監護養育」とは、子供を引き取って育てることです。

 

親権の基礎知識

親権は、身上監護権と財産管理権から成り立つ権利です。

 

●身上監護権・・・(子供の身の回りの世話、しつけ、教育をする)
●財産管理権・・・(子供名義の財産を管理する、子供に代わって法律行為を行う)

 

婚姻中は、両親が共同して親権を行使します。離婚後はどちらかが単独で親権を行使することになるため、親権者をひとりだけ定める必要があります。

 

離婚によって親権を失った方(親権者にならなかった方)も、親であることには変わりありません。したがって、@子供を扶養する義務A面接交渉権B子供に財産を相続させる権利は、引き続き残ります。

 

 

親権者の決定

 

親権をどちらが取るかは、基本的に話し合いで決定します。話し合いで決まらなければ、調停で再度話し合うか、審判で親権者が決定されます(審判の決定に不服がある場合、離婚訴訟で親権者が決定されます)

 

統計上は、母親が親権者になるケースが圧倒的に多いと言えます(平成17年に、家裁で母親が親権者と認められたケースは約17300件、父親は約2400件)。

 

裁判所の親権者決定基準

 

裁判所の親権者決定基準は、「子供の福祉・利益」です。子供にとって、どちらが親権者になった方が利益になるか?という基準で判断されます。

 

具体的には、夫婦双方の事情(子育ての意欲、健康状態、生活態度、収入・経済状況、生活環境など)、子供の意志・年齢等が総合的に考慮されます。

 

※子供が10歳未満の場合、ほぼ母親が親権者になります。10歳〜15歳ぐらいは子供の意志がある程度尊重され、16歳以上は子供の意志がかなり尊重されるようです。

 

 

離婚後に親権者を変更するには

 

親権者に下記のような事情がある場合、もう一方の親や子供の親族は、家裁に親権者変更の調停・審判を申し立てることができます。

 

・長期入院で子供の面倒をみることが出来ない
・子供を虐待する
・子供の養育を放棄している
・親権者としてふさわしくない生活態度がみられる

 

家裁の調停・審判で、子供の福祉・利益のために親権者変更の必要があると認められれば、親権者を変更することができます。

 

親権者変更の手続き

 

1.両親または子供の親族が、家裁に「親権者変更」の調停・審判を申してる。

 

2.調停・審判で変更が認められたら、審判書・調停調書を市町村役場に提出する。

 

 

<離婚後に親権者が死亡した場合、子供の親権はどうなる?>

 

離婚後に親権者が死亡した場合、もう一方の親に自動的に親権が移るわけではありません。

 

もう一方の親や子供の親族が、家裁に親権者変更の調停・審判を申し立てることにより、もう一方の親が親権者となります。

 

しかし、もう一方の親が親権者にふさわしくない場合は、家裁により未成年後見人が選任されるケースもあります。

 

 

監護権とは

 

監護権は親権の一部で、子供の身の回りの世話、しつけ、教育などをする権利のことです。

 

親権と監護権の分担

 

離婚の際に、子供の親権をどちらが取るかで争いになることがあります。この場合の解決策として、親権と監護権を分担する方法があります。

 

親権は夫に与え、妻は監護権を取って、子供を引き取って育てるわけです。

 

しかし、この方法は権利・義務関係が複雑になることから、実際に利用されるケースは少ないようです。

 

分担する場合の注意点

 

離婚届には「親権者」を記載する欄がありますが、「監護権者」の欄はありません。親権と監護権を分担する場合は、離婚協議書にその旨をしっかり明記しておく必要があります。

 

 

サイト運営者

 

 

花田好久(はなだよしひさ)。行政書士。1975年2月生まれ。既婚。福岡県出身。東京都八王子市在住。

 

離婚・不倫問題専門の行政書士として、開業以来100件以上の離婚公正証書作成に関わる。

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